補遺はアクィナスの未完の第三部を補うために、その弟子たち(主にレジナルド・フォニによる)が「命題集注解」(アクィナスの初期著作)から素材を採って編纂したものである。全九十九問から成り、終末論(最後のことがら)と婚姻秘跡の詳論を含む。
一 告解の続きと諸秘跡(第一問〜第四十問)
補遺の前半は第三部で中断した告解秘跡の論述を継続する。贖罪の諸実践(祈り・断食・施し)、破門(Excommunicatio)の効果と解除、聖なる油による塗油秘跡(現在の「病者の塗油」)が論じられる。聖品秘跡(叙階:Ordo)については、位階制度(主教・司祭・助祭)の神学的根拠が詳述され、叙階の不消去性(Character)が論じられる。
二 婚姻秘跡(第四十一問〜第六十八問)
婚姻(Matrimonium)が秘跡である根拠は、キリストと教会の結合の象徴であること(エフェソ5: 32)にある。アクィナスは婚姻の本質的要素として相互の同意(Consensus)を挙げ、同意こそが婚姻の「形成因(Causa Efficiens)」であると論じる。婚姻の目的として子どもの出産・養育・教育、性的欲求の正しい秩序化、相互の忠実な援助の三つが挙げられる。
婚姻の「不可解消性(Indissolubilitas)」は自然法的根拠と超自然的根拠の両方から論じられる。子どもの養育には長期にわたる両親の協力が必要であること(自然法的根拠)、そしてキリストと教会の永続的結合を象徴するゆえに解消できないこと(超自然的根拠)がその理由として挙げられる。
三 終末論(第六十九問〜第九十九問)
終末論(Eschatologia)はキリスト教神学の末尾に位置し、個人の死後の運命(死・審判・天国・煉獄・地獄)と世界の終わり(復活・最後の審判・新天新地)を論じる。
死後の状態について、アクィナスは死と同時に魂は肉体から分離し、その善悪の行為に応じた審判を受けると論じる(個人審判:Judicium Particulare)。義人の魂は天国において神の直観的認識(Visio Beatifica)に入る。罪人の魂は地獄に落ちる。煉獄(Purgatorium)の魂は天国に向かう途上にあるが、未清算の小罪あるいは罪の罰が残っている者が赦しを受けつつ清められる場所である。
肉体の復活(Resurrectio Carnis)は使徒信条の核心的条項であり、同一性をもった身体が復活するという教義をアクィナスは哲学的に擁護する。復活の身体は同一の質料的連続性を持ちながらも、「光栄化された身体(Corpus Gloriosum)」として霊に完全に支配される。その特性として、軽さ(Agilitas)・微妙さ(Subtilitas)・明晰さ(Claritas)・痛みを受けない性質(Impassibilitas)が挙げられる。
最後の審判(Judicium Universale)においてキリストは審判者として現れ、すべての人間の行為が明るみに出される。この宇宙的審判の後、世界は更新され、「新天新地」における永遠の状態が始まる。選ばれた者たちは神の直観的認識において完全な幸福を享受し、断罪された者たちは神から永遠に分離された状態に置かれる。地獄の罰の永遠性は神の正義と人間の自由意志の帰結として論じられる。